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サントリー美術館
サントリー美術館
東京都港区赤坂9-7-4 :六本木・東京ミッドタウン ガレリア3階
「東京ミッドタウン」 21世紀の日本を代表する街、世界に類を見ない独創的な街が誕生しました。


Prayers to Water

あらゆる生命の源

水―神秘のかたち

我々が育んできた豊かな水の精神性、聖なる水の力

 水は、あらゆる生命の源であるがゆえに世界中でさまざまな信仰を生み、祈りの対象ともなりました。 特に四方を海に囲まれ、かつ水源が豊かな日本においては、自然崇拝と相まって、水のもつ精神性が発展したようで、日本語に信仰背景があることを連想させる水の慣用句が多いことや、水による潤いが精神にも及ぶ発想があることに、一端が示されるでしょう。

 さらに、祭器である銅鐸に流水文が表されることから、すでに弥生時代より信仰があったことがうかがえ、それが今でも続くことは、湖や滝が御神体として祀られることに見ることができます。 また、龍宮城など、水にまつわる昔話が多くあることは、多岐にわたる信仰を映し出すでしょう。 とりわけ、今でも日本各地に残る龍神信仰は、雨乞いと深くかかわるものであり、五穀豊穣ひいては鎮護国家に直結することから、時代を通じて信仰され、水の信仰の中核といえるものです。


会期: 2015 12/16(水)~ 2016 2/7(日) 展覧会は終了しました。
※作品保護のため、会期中展示替えを行います。
休館日:毎週火曜日
開館時間:10時~18時 (金、土は 20時まで)
※いずれも入館は閉館30分前まで ※shop x cafe は会期中無休

会場:サントリー美術館 六本木・東京ミッドタウン ガレリア3階



'2015 12_15 「 神秘のかたち」 展のプレス内覧会の会場風景です。
画像をクリックすると大きな画像でご覧いただけます。

「水―神秘のかたち」展

水―神秘のかたち」展
プレス内覧会 & プレス説明会
サントリー美術館 '2015 12_15


若水を汲む新春に、清らかなが生んだ神秘のかたちをお楽しみください

「展示構成」
本展覧会 「 神秘のかたち」 展 図録および 「News Release No. sma0015」 「Newsletter vol.258」 より抜粋して掲載しています。

 本展は、水にかかわる神仏を中心に、その説話や儀礼、水に囲まれた理想郷や水の聖地など、水を源とする信仰に根ざした造形物を、彫刻、絵画、工芸にわたって展覧するものです。 特に篤い信仰を集めた龍神は、国宝 「善女龍王像」 など優れた造形性を有するものが伝わり、龍神のもつ神秘の玉―「宝珠」 に関する作例とともに、本展の見どころの一つとなります。

「展示構成」
第1章 水の力
第2章 水の神仏
第3章 水に祈りて
第4章 水の理想郷
第5章 水と吉祥
第6章 水の聖地


《弁才天坐像》

第2章 水の神仏
 信仰が高まるに従って、水は次第に神格化され、時に神仏として祀られるようになります。 その中で著名なのは、仏教の弁才天です。 もともと古代インドのサラスヴァティーという河で、日本では特に室町時代以降民衆に広まって盛んに信仰され、現在でも各地に祀られています。
 本展では、江島、竹生島、天川、厳島にまつわる弁才天の姿の紹介です。 また、海運の神として信仰を集めた住吉神のほか、さまざまな水の神仏とそれにまつわる造形作品を展覧します。

・31 《弁才天坐像》 1軀 木造 彩色 像高 30.3 鎌倉~南北朝時代 14世紀 滋賀・MIHO MUSEUM

 頭上に宇賀神を戴く 八臂の弁才天像。 弁才天の起源であるサラスヴァティーは、サンスクリットで水を持つものの意で、サラスヴァティー河(インド北西部の河川か) を神格化したヒンドゥー教の女神である。 河神すなわち五穀豊穣を祈る農業神として、あるいは学問・芸術の神として信仰された。 仏教には弁才天として摂取され、日本でも水辺の聖地に多く祀られた。


《仏説法図》

第4章 水の理想郷
 古来我々は、数々の理想郷を思い描いてきました。 その中でも、水中の龍宮城、海の向こうの仏国土、または海上に浮かぶ不老不死の蓬莱山など、人々が憬れてきた理想郷の多くは、水に囲まれていることがわかります。 神聖な水は、理想郷を守ると同時に豊穣をも約束し、果て無き大海は、この世と隔絶するものとして考えられることで、そのイメージは形作られてきたといえるでしょう。 ここでは、豊かな水とともにあるさまざまな理想郷の姿を展覧します。

・111 《仏説法図》 1面 片岩 64.5 x 65.0 ガンダーラ 3世紀頃

 中央に坐す仏陀の姿は、大衣を通肩にまとい説法印を結び、頭光と身光とが表されている。 台座となっている蓮華は、いくつもの清浄なる開敷蓮華や未敷蓮華が生じる連池から大輪の花弁を支えるように茎を伸ばしている。 大乗仏教では、釈迦のほかにも多くの仏や菩薩が存在し、十万世界に無数の仏国土があると説かれ、阿弥陀経や華厳経など阿弥陀の浄土といった諸仏の仏国土を説く経典が数多く成立した。 そこには、清浄な水を湛える池から大輪の蓮が生じ、七宝の光に照らされ、この上もない好い香りで荘厳されるほとけの世界が描写される。



雨を祈る儀礼と美術をめぐって「請雨教法と本尊」から抜粋文 泉 武夫 (東北大学大学院教授)

 雨を祈る儀礼は、五穀豊穣と飢餓対策に欠かせないもので、古くからさまざまなかたちで行われていた。 奈良時代には 『大般若経』 を読経したり、『金光明経』 による 「吉祥悔過」 (吉祥天に懺悔する) などの儀礼を行い風雨の順行を祈る、などの事例がある。平安時代に入ると密教が導入され、実践的で整った儀礼(修法という) が登場する。 「請雨教法」 と呼ばれるものがそれだ。 従来と異なり、目的が祈雨に絞られている点で画期的である。 『大雲輪請雨教』 『大雲経祈雨壇法』 などの諸経に依り (作品番号92)、雨を管轄する諸大龍王を招いてその効果を得るという手続きをとり、弘法大師空海(774-835) の真言宗(東密という) のみに伝わる修法である。 日本では、宮中の神泉苑で行うものが本筋の請雨教法とされ、いつたん担当となった真言僧は名誉と身命を賭けて、この修法に臨んだ。
 とくに空海が神泉苑で行つたとき、善女龍王 (作品番号72 国宝 『善女龍王像』) が感応して出現し、滂沱の雨を降らせたという伝説は有名である。

 ギリシアの植民地イオニアに、世界の始原について合理的に考える学者たちが紀元前6世紀に澎湃として出現し、哲学はここに発祥したとするのが通説である。 中でもイオニア諸都市の一つ、ミレトスに現れた、タレス (前624-546頃) は、イオニア学派の始祖であり、アリストテレスによって、「哲学の創始者」 と呼ばれている。 タレスは、我々を根底から存在せしめている 「なにか」 を問い、全世界の原理が 「だ」 と答えた。 タレスは、万物の根源が と考え、それゆえ、大地も水の上にあると指摘し、水というものが神のひとつ、あるいは神的な神のごとき存在として、単なる物質以上のものとして表象される、と考えた。


お問合せTel:03-3479-8600
サントリー美術館公式サイト:http://suntory.jp/SMA/
主催=
サントリー美術館、朝日新聞社
協賛=三井不動産、三井住友海上火災保険、サントリーホールディングス
サントリーホールディングス株式会社は公益社団法人サントリー芸術財団のすべての活動を応援しています。


参考資料:NEWS RELEASE No.sma0015、Newsletter vol.258、「 神秘のかたち」展 図録、他
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